【日语有声朗读】猫、病院にいく-3朗读:yuki筱寻

这本书联合朗读的另一位主播小姐姐~yuki筱寻猫、病院にいく-3 その数カ月後、トトは発情期を迎え、夫と相談した結果、不妊手術をしようと決めた。そうしてふたたび、トトを病院に連れていくことになった。 キャリーバッグに入れて外に出る。トトは鳴かないが、どこにいくのか理解しているのか、病院が近づくとぺったりとキャリーバッグの床にはりついて、気配を消している。だいじょうぶ、だいじょうぶとまたささやきながら歩く。猫に言葉が通じたらいいのになあと真剣に思う。いやがる子どもを病院に連れていく親というのはこんなにつらい気持ちなのか、いや、もっともっとつらいに違いないと、そんなことをはじめて思ったりする。 病院について名を呼ばれ、診察室に入る。診察台にのせると、先生に背を向け、ぴったりとおなかを台にくっつけて微動だにしない。先生がやさしく話しかけながら撫でると、先生にでもなく、私たちにでもなく、壁に向かって、ちいさなちいさな声で「シャー」と言った。 ええっ。これ、今の、トト、怒ったのか。ほかの猫が「シャーッ」と怒るのを見たことはあったけれど、トトの「シャー」を見たことがなかった。トトでも怒るのか。しかしなぜ壁に向かって、そんなちいさな声で! 先生も「なんてちいさいシャーなの!」と、思わず笑い出している。 さてこの日、トトは不妊手術を受け、はじめて病院に一泊することになった。トトがきてまだ一年もたっていないし、トトはめったに鳴かず音をたてることもないのに、トトのいない家は不気味なくらい静かだった。その不気味に静かな家で、私と夫は、うちにきたのがトトでよかった、本当によかった、運動神経が鈍くて心臓が悪くてスポイトを隠したりして、あんなにちいさな声で怒るあの猫で本当によかったと、まったく阿呆のようにくりかえしくりかえし話したのである。

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