【日语朗读】我が家に猫がやってくる-2 朗读:Seki菇菇

しかしながらこのとき、心の隅で、でもうちに猫はこないだろうとなんとなく思っていた。猫が一回のお産で何匹産むのかわからないけれど、まさか七匹も産まないだろう。七番目はないだろう。なんとなく、自分は猫と縁がないような予感がしたのである。 あるとき西原さんのブログに、おかあさん猫が四匹産んだと書いてあった。ほらやっぱり、四番目の人までだ、と思った。ところがその後、またおかあさん猫が妊娠したと書かれている。私は毎日毎日しつこいくらい西原さんのブログをチェックした。二〇一〇年一月六日。おかあさん猫が出産に入ったと西原さんのブログに書かれてあるのを見たときは、ウキャーと叫んだ。このときの お産はたいへんで、なかなか出てこず、最後はおかあさん猫は病院で出産したのだ。その数、三匹。 七匹目がいる! ってことは!! 生まれた三匹は、それぞれ、ごーちゃん(雄)、ろくちゃん(雄)、ななちゃん(雌)と仮の名前がつけられ、しばらくのあいだ両親猫と暮らすことになった。西原さんはななちゃんのショットを携帯メールで送ってくれて、それを私と夫は舌なめずりをせんばかりにして眺めていた。ななちゃんがくるまえに決めようと、名前案を出し合った。四つ案が出て、結果、夫の考えた「トト」に決定。意味はなく、音の響きがかわいいから、というのが夫の弁。ごーちゃんはちゃんたくんと名を変えて編集者のご夫婦のもとへ、ろくちゃんはろくちゃんのまま作家の白川道さんのお宅へと引き取られていった。最後まで残って、おかあさん猫の乳を吸っていたのがななちゃんである。私にちょうど三週間の出張が入り、なかなか引き取りにいけなかったのだ。旅から帰って、まず猫グッズを買いにいった。何しろ猫を飼ったことがない、最初に何が必要なのかもわからない。夫があれこれ選んでいくのをただ眺めるのみ。食器。ふーん。トイレ。ふーん。トイレの砂。ふーん。猫缶? カリカリ? 爪研ぎ。ほうー。キャリーバッグ。なるほど、これに入れて西原さん宅から連れてくるのか。そして四月十九日、私と夫は西原さん宅を訪れた。みんなで群れている猫たちを見ると、一匹連れ帰るのがものすごく申し訳ない気持ちになる。西原さんのお嬢さんにごはんの量や種類を教わり、いちばんちっこい猫をキャリーバッグに入れる。お嬢さんが、ななちゃんが好きだったおもちゃ、と言って黄色いちいさいボールを入れてくれた。

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