柳田國男について On Kunio YANAGITA (short introduction)

This recording was made possible by the support from my club 南風舎 at Patreon. このエピソードは、私の私的文学クラブの皆様の応援によります。ここに感謝の意を表します。 Transcript 皆様こんにちは。いかがお過ごしでしょうか。 「その発祥から屍臭の漂う学問であった」、と三島由紀夫が言う学問は何かご存知ですか。シシュウと言うのは、ここでは死んだ人の身体、屍の臭いの事です。答えは民俗学です。今回は、日本人の魂を追ったフィールドワーカー、民俗学の父と呼ばれる柳田國男を紹介したいと思います。 柳田國男は1875年に兵庫県に生まれました。泉鏡花より二歳、年下です。子供の頃、医者で文学好きな親戚がいて森鴎外と友人だったので、森鴎外の家に遊びにいったりしていました。甘党の森鴎外のうちで出るお菓子が、柳田少年には魅力だったようです。 柳田國男は40代半ばまで、エリート高級官僚として働きながら、地方を旅して日本の民話や風習を調べました。 それでは柳田國男の作品を紹介します。 『遠野物語』 初版350部限定で自費出版されました。当時十八歳だった芥川龍之介はこれを読んで、柳田國男の愛読者となったようです。書痴と言われるまでの愛書家であり、中国人で日本に留学していた周作人もこれを入手して高く評価しています。 遠野物語は、佐々木喜善が柳田國男に故郷の遠野で見聞きしたことを、現在の事実として語った、それを忠実に書き起こしたものだという説明から始まります。因みに佐々木喜善は日本の昔話を集め、のちに「日本のグリム」と呼ばれるようになります。 遠野物語は格調高い文語体で書かれているので、読むのがちょっと難しい。しかし文語には口語体には無い独特の力があるので、柳田國男はあえてこの文体を選んだようです。確かに柳田國男の文語は、口語にはない雰囲気を伝えてきます。三島由紀夫はこの作品を小説として長年読んでいいて、興味深い紹介文を残していますので、今度読みたいと思います。 『書物を愛する道』 ここに書かれている、「本を読むということは、大抵の場合には冒険である」と言うのには全く同感です。ところで昔は、本の外観や色から内容の検討がついたのが便利だったというのは面白い。例えば地方に行って本屋で占めている色を見れば、その場所の知的・文化レベルをある程度察する事が出来たというわけです。 『故郷七〇年』 柳田國男がどういう風に育ち生きて来たかを、その時分の背景と共に語ります。文学の思い出や交友録には、泉鏡花や森鴎外、尾崎紅葉が出てきて楽しいものになっています。    ではまた。

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