【日语有声朗读】猫、病院にいく-2朗读:yuki筱寻

这本书联合朗读的另一位主播小姐姐~yuki筱寻

さて、処方された薬であるが、三種類ある。ひとつは粉末を水で溶き、スポイトで飲ませるもの。もうひとつも粉末だが、こちらは少量の水で丸め、猫の口にぽんと入れるもの。三つめは錠剤で、砕いてごはんにまぜる。その日から、教わったとおりのやりかたでトトに薬を飲ませることになった。


トトはじつにおとなしい、聞き分けのよい猫で、薬もいやがることなくちゃんと飲んだ。この子はえらい、本当にえらい、ひいき目でな たたくてえらいと夫とともに褒め称えずにはいられなかった。


薬を飲ませるためのスポイトは台所に置いておくのだが、二、三日ですぐなくなる。あれ、どこかに置き忘れたかなと新しいものを出して使う。またなくなる。もしかして、トトがおもちゃと勘違いして遊んでいるのかなと、あたりをさがしてみるが見当たらない。そうしてある日、私は見つけるのである。なくなったスポイトたちを!


トトのトイレのうしろには小型のステンレスの物置棚があるのだが、掃除のためにこの物置棚をどかしたところ、なんとスポイトが三つ、きれいに並んでいるではないか。トトがせっせと隠していたのである。ううむ、トトよ。あんなにおとなしく薬を飲んでいたけれど、じつはいやだったのだねえ。


 しかし薬よりもかわいそうなのは、トトの大好きな激しい遊びをしてあげられないことである。もう少し年をとればおとなしくなるのだろうけれど、まだ一歳、遊びたいさかりのはず。しかも、運動神経が鈍いながら、跳んだり、走ったりするのが大好きなのだ。ボールをくわえて持ってきてぽとりと落とし、ニャオワーン、と鳴かれると、胸がふさがる思いだった。猫無知の私はひたすら途方に暮れて、がまんしようねと言って聞かせるだけ。するとやはりトトを不憫に思った夫が、さまざまなおもちゃを独自に作りはじめた。さすがに猫歴が長いだけあって、動きまわらずとも猫が夢中になる遊びを知り尽くしているのである。切ったストローを糸で結んだもの。ギターのピックの中央に穴を開け糸を通したもの。ボール紙を丸めて懐中電灯に巻きつけたもの(部屋を暗くし、細い先端から出る光を壁にあてる)。 


 そのへんにあるものでじつに多様なおもちゃを作りちいさなスペースで遊んでいる。にゃるほど、走らなくとも、跳ばなくとも、いかようにも遊べるわけか。数週間すると、トトはスポイトを隠すこともしなくなった。薬もいやがらずおとなしく飲んでいる。何かのきっかけでトトが猛然と走り出したときは、部屋のドアを閉めて走る距離を短くし、ほかの興味を引くような遊びをする。


私たちもトトも慣れた。

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